ミジンコの増やし方・飼育方法|メダカ屋が全滅させないコツを解説
ミジンコをメダカの生き餌として増やすために、容器、水、餌、水温、日当たり、収穫の基本を解説します。太陽メダカ園の実践をもとに、全滅を避ける管理とタマミジンコなど種類ごとの見方、野外採集時の注意、育成の失敗を防ぐ具体的なポイントまで紹介します。
公開 2023-05-20 更新 2026-09-16

ミジンコを増やす鍵は「餌切れ・過密・高水温」を避けること
メダカの生き餌としてミジンコを飼い始めたものの、数が増えない、ある日まとめていなくなった、という悩みは少なくありません。ミジンコは条件が合うと単為生殖で増えますが、餌不足、混雑、日照条件の変化などの環境悪化は、増殖の勢いを落とす要因になります。1 したがって、たくさん餌を入れることだけを目標にするのではなく、餌がある水を保ち、水質を崩さず、群れを一つの容器に集中させないことが大切です。
太陽メダカ園では、メダカを飼う人から「ミジンコをうまく増やせない」「全滅した」と相談を受けることがあるといいます。そこで実践しているのが、複数の容器に分け、メダカ飼育で出たグリーンウォーターを活かしながら、細かい餌と日当たりを組み合わせる方法です。これは、飼育水中の植物プランクトンなどを食べるというミジンコの性質に沿った考え方です。1
まずは、同じ水と餌を用意した予備の容器を二つ以上立ち上げるところから始めましょう。一方が水温上昇、餌切れ、過密、混入生物などで調子を落としても、もう一方が種親として残ります。フロリダ大学の養殖資料でも、急な死滅に備えて複数の培養を維持することが勧められています。2 これは特別な設備より先に取り入れやすく、全滅を避けるための基本になります。
ミジンコとは?タマミジンコ、ケンミジンコ、カイミジンコの違い
一般に「ミジンコ」と呼ばれるもののうち、メダカの生き餌として培養対象になりやすいのは、枝角類のミジンコやタマミジンコの仲間です。ミジンコは池や湖で藻類を食べ、魚の餌にもなる動物プランクトンです。1 タマミジンコとして扱われることの多い Moina の仲間は小型で、幼い個体はさらに小さいため、淡水魚の稚魚用の生き餌として使われます。2
一方、名前が似ていても、ケンミジンコは橈脚類で、狭義のミジンコとは分類上別のグループです。4 細長い体つきで動きが速く、容器内で見つけても、丸みのあるタマミジンコと同じように増やせるとは限りません。二枚貝のような殻に包まれて見えるカイミジンコも別の仲間です。採取した水に複数の生き物が混じるのは珍しくないため、メダカの針子に与える目的なら、まず体の大きさと泳ぎ方を観察し、食べ残しが出ない量だけを使います。
ミジンコは止水に近い池、湖、水路のよどみ、田んぼなどで見つかることがあります。5 野外で採る場合は、私有地や立入制限区域に入らず、採取が許される場所かを確認してください。また、自然水にはケンミジンコ以外にも、魚の稚魚を傷つける捕食者や競合する生物が入り得ます。2 観察用に採った水や飼育した個体を、別の池・川・水路へ放さないことも守りたい点です。
容器・水・置き場所を整える
容器は浅めにし、複数に分ける
容器は、内部に洗剤や薬剤が残っていないプラスチック製の桶、ケース、たらいなどを選びます。底面が広く、水深が深すぎない容器は、水面でのガス交換がしやすく、光も届きやすくなります。養殖の資料でも、浅い水深は植物プランクトンの光合成と酸素の拡散に有利とされています。2
太陽メダカ園では、一つの容器に数が集まりすぎたら、メダカに与えるか、別の容器へ移して密度を下げます。オオミジンコでは高密度で産仔数が大きく下がる報告があり、過密を放置しない考え方には根拠があります。2 収穫する容器と、次の親を残す容器を分けておくと、使い切ってしまう失敗を防げます。
水はカルキと急変を避け、グリーンウォーターを餌場にする
水道水を使う場合は、ミジンコを入れる前にカルキを適切に抜き、水温も合わせます。金属、洗剤、漂白剤、農薬などの混入は避けてください。Moina の飼育資料では、こうした物質への感受性が示されており、井戸水や水道水でも性質を確認したうえで使う必要があります。2
太陽メダカ園では、メダカ飼育で出た緑色の水をミジンコの桶に加えています。グリーンウォーターは植物プランクトンを含む水であり、ミジンコの食べ物になります。水が緑から透明へ変わるのは、ミジンコが食べているサインになり得ますが、同時に餌が減った合図でもあります。透明になったまま放置すると餌切れにつながるため、水の色とミジンコの動きを毎日見ます。
ただし、メダカ水槽の古い水を無制限に注ぐ方法は避けます。残餌や排せつ物が多い水を一度に入れると、水質が急変するおそれがあります。少量ずつ足して反応を見るのが基本です。培養水は、薄い緑色から少し濁りのある状態を目安にし、悪臭、表面の厚い膜、泡立ち、動きの鈍い個体が見られたら、給餌量を減らし、状態のよい予備容器を優先して使います。
日光は餌づくりに役立つが、水温を必ず見る
日光は、グリーンウォーターの基になる植物プランクトンを育てるために役立ちます。太陽メダカ園では、なるべく日光が当たる場所で飼育しています。教育用のミジンコ培養資料でも、クロレラなどの糸状でない藻類を加え、強い光の下で緑色の水をつくる方法が示されています。3
ただし、容器を真夏の直射日光へ置き続けると、水温は短時間で上がります。ミジンコの適温は種類で異なります。たとえば Daphnia の教育用培養では20℃前後が目安とされる一方、タマミジンコとして扱われることの多い Moina は24〜31℃でよく育つとされています。2 飼っている種類をひとまとめにせず、水温を測り、暑い時期はすだれや遮光で水温の急上昇を抑えてください。日照を確保することと、高温にさらすことは同じではありません。
ミジンコの餌は少量から始め、水の変化で調整する
ミジンコの主な餌は植物プランクトンですが、飼育では生クロレラ、グリーンウォーター、微細な魚用パウダー、ドライイーストなどが候補になります。Moina は植物プランクトン、酵母、細菌、腐植質などを利用し、藻類と酵母がそろう環境で個体群がよく成長します。2 どの餌を選ぶ場合も、最初から濃く与えないことが重要です。
生クロレラ・グリーンウォーター
生クロレラなどの微細藻類は、ミジンコが食べやすい餌です。専用に用意できなくても、状態のよいグリーンウォーターを少量ずつ加える方法があります。水が急に透明になったときは不足を疑い、濃くなりすぎたときやミジンコの動きが悪いときは、追加を止めて様子を見ます。藻類が濃すぎる状態も、水質を安定させるとは限りません。
針子用パウダー餌・ドライイースト
太陽メダカ園では、粒子の細かい針子用のパウダー餌を毎朝ミジンコの容器に与えています。粉餌を使うときは、少量の飼育水でよく溶き、容器全体へ薄く広げると固まりにくくなります。ドライイーストも同じく、水で溶いてごく少量から試せます。教育用資料では、酵母の懸濁液を水がわずかに濁る程度に加え、ミジンコが食べて水が澄んでから次を足すよう案内しています。3
餌を増やしても水が濁ったまま、底に沈殿がたまる、においが強くなる場合は与えすぎです。過剰給餌は水質を急に悪化させるため、少量を回数で調整するほうが失敗しにくくなります。2 「たくさん与える」よりも、「食べ切れる濁りを保つ」と考えましょう。
鶏糞を使う方法は扱いに注意する
養殖の現場では、鶏糞などの有機物を肥料として使い、細菌、植物プランクトン、腐植質を発生させて Moina を育てる手法があります。2 ただし、家庭での小規模飼育では、投入量の調整が難しく、水の腐敗やにおいを招きやすい方法です。また、家畜の飼料添加物が糞に残り、培養に影響する可能性も指摘されています。2 メダカへ与える生き餌を安定して用意したい場合は、まずグリーンウォーター、生クロレラ、パウダー餌、ドライイーストのように状態を見ながら調整しやすい餌から始めるとよいでしょう。
全滅を防ぐ日々の管理とメダカへの与え方
毎日行うことは難しくありません。朝か夕方に容器をのぞき、ミジンコが跳ねるように動くか、水が透明すぎないか、死骸や沈殿が増えていないかを確認します。抱卵している個体が見え、動きが活発なら、環境はおおむね維持できています。反対に、体色が薄い、腸が空に見える、休眠卵をつくる個体が増えるといった変化は、餌不足や環境不良の目安になります。2
メダカへ与えるときは、網やスポイトで必要な分だけ取り出し、残りは培養容器に残します。稚魚には特に、口に入る大きさかを確かめながら少量ずつ与えてください。Moina は成長すると稚魚が食べにくい大きさになり、過密な状態では稚魚の負担になる場合もあります。2 親メダカ用には成体を、針子用には小さい個体が多い水を選ぶと、給餌の見通しを立てやすくなります。
収穫は一度に取り切らず、群れの一部を残します。半連続培養では、1日の収穫を個体群の20〜25%以下に抑える方法が示されています。2 容器の調子が落ちたときは、残った個体を無理に救おうとして餌や水を大量に足すより、元気な予備容器から次の培養を立ち上げるほうが確実です。複数容器、適度な収穫、餌切れを見逃さない観察を続ければ、メダカの生き餌を無理なく維持しやすくなります。