全国のコケ愛好家が集まる「岡山コケの会」にインタビュー!

全国のコケ愛好家が集まる「岡山コケの会」にインタビュー!

岡山県を拠点に活動する「岡山コケの会」(通称:オカモス)にインタビューしました。

「岡山コケの会」は、1992年発足。岡山在住の日本蘚苔類学会(1972年に発足したコケ研究者や愛好家の全国組織。通称コケ学会)の会員を中心に活動を開始した、コケ愛好家のためのコミュニティです。

日本全国に会員がおり、コケ研究やコケ産業の発展に寄与することを目的に活動しています。

今回お話を伺ったのは、世話人代表の西村直樹さん(元岡山理科大学教授、現オカモスハウス管理人)です。

「コケが分かるようになりたい!」という人の集まり

ーー岡山コケの会(オカモス)がどんな会なのか、教えていただいてもよろしいでしょうか。

岡山コケの会(オカモス)は、「コケが好き!」というのは当然のこととして、「コケが分かるようになりたい!」という人の集まりです。

なお、ここで「コケ」と呼んでいるのは、専門的には、「コケ植物」とか「蘚苔類(せんたいるい)」と呼ばれる仲間です。

アクアリウム水槽のガラス面につく緑茶色のもの(藻類やシアノバクテリアの仲間)ではありません(笑)

発足当初は岡山在住の日本蘚苔類学会会員が中心だったので、「岡山コケの会」と称していました。

やがて会員が全国に広がり、いつのころからか「オカモス(OkaMoss)」という通称で呼ぶようになったという感じですね。

コケはとても小さいので、目で見ているだけではいつまでたっても分かるようにはなりません。

そのため、「どうすればコケを分かるようになるか」を分かっていただこうとしています。

さらに、コケの美しさや、コケと付き合う楽しさを知ってもらうようにもしています。 

コケの美しさや面白さを楽しんでもらう

ーー会員は全国にいらっしゃるのですね。オカモスでは、日ごろ、どんな活動をしていますか?

オカモスの活動は、各地の世話人や顧問を中心に、会員それぞれの自主的参加・運営によって行われています。

世話人や顧問、会員が誘い合って、観察会や採集会を行うことが多いです。

画像提供:岡山コケの会

また、各地の会員が、一般の方(小学生からお年寄りまで)を対象にした観察会やコケ講座を開催しています。

初心者講座の様子|画像提供:岡山コケの会

野外でのコケの見分け方や観察のしかたをわかってもらうとともに、コケの美しさや面白さを楽しんでもらうようにしていることが特徴です。

コケの葉をはずす実演|画像提供:岡山コケの会
コケマップ
コケマップ|画像提供:岡山コケの会

もっとコケのことをわかるようになりたいという方には、岡山コケの会に入会いただいています。

オカモスハウス(岡山の活動拠点)などで、顕微鏡やコケ図鑑を用いて、コケの形態や種名同定ができるようにも。

採集したコケを確認する様子|画像提供:岡山コケの会
採集したコケを確認する様子|画像提供:岡山コケの会
コケの観察用具
コケの観察用具|画像提供:岡山コケの会

遠方にお住まいの方の場合は、顕微鏡写真を送っていただいたり、標本を郵送していただいて、質問にお答えするようにもしています。

コケの標本|画像提供:岡山コケの会

熱心な方は、2~3年もすれば、かなりコケがわかるようになりますね。

ーーありがとうございます。岡山県に住んでいなくても、オカモスには入会できるのですね。

岡山以外の方でも、どなたでも入会できます。

会員は、北海道から沖縄まで全国各地にいて、コケ愛好家や研究者、最近は、コケ栽培やコケテラリウムなどに関わっている方々などいろいろな方がいますね。

興味がある方は、ホームページの活動案内や入会案内をご覧ください。

ーー記事末尾には、各地の活動拠点の連絡先も掲載しておきますね。

「標本」と「正しい名前(和名と学名)」、そして「マナー」を大切に

ーー日本全国のコケ愛好家が集まる岡山コケの会が大切にしていることはありますか?

コケを楽しむマナーとして、「美しいコケの景観をそこなわないように」という点を大切にしています。

コケを採ったところは穴になって、見苦しくなります。直ぐには回復しません。

また、コケを持ち帰っても、たいてい枯らしてしまいます。

「コケの美しさは、生えているその場で楽しみましょう!いつ来ても、美しいコケが見られるようにしましょう」と、観察会などに参加される皆さんに協力をお願いしています。

コケ採集に関する啓発パンフレット
コケ採集に関する啓発パンフレット|画像提供:岡山コケの会

ーーコケ愛好家として、自然の姿を大切にするのは重要ですよね。他にも重要視していることはありますか?

「標本」を大切にしています。

コケは、肉眼で見ただけで正しい名前が分かることは少ないからです。

同定(名前をつける)の際には、必ず、実物(通常は乾燥標本)の葉の形や細胞の形を顕微鏡観察して、形態的特徴を確認しています。

コケの標本棚
コケの標本棚|画像提供:岡山コケの会

「正しい名前(和名と学名)」も大切にしています。

名前が分かって初めて、コケの図鑑(平凡社の「日本の野生植物 コケ」など)に記載されている各種の生態や分布を知ることができるからです。

コケの名前は、コケを育てる際には必須の情報となります。

また、コケの名前がしっかり分かれば、ネット検索でより詳しい情報を得ることも可能です。

ーーありがとうございます。コケの名前を調べるのは素人には難しいイメージがあるので、オカモスさんでの活動を通じて種名同定ができるようになることが重要ですね。

これからも「無理のないところでコケを楽しむ」活動を

オカモスさんは、これから「こんな活動をしていきたい!」というような展望はありますか

オカモスは今年で発足30年です。

主なメンバーで相談し、これからも「無理のないところでコケを楽しむ」活動を行っていくことにしています。

また、発足当初よりやってきた、コケの知識の普及、コケの見方や同定法の講座・講習会を続けていきたいと考えています。

特に、顕微鏡下の世界はとても素晴らしいものがありますので、多くの皆さんに、ぜひ、顕微鏡でコケを観ていただきたいと思っています。

ーーコケに関する活動は、生涯通じてのライフワークにもできますものね。私も今後長きにわたって、コケについて学んでいこうと思います。

ーー最後に、コケ愛好家の方にメッセージがあれば教えてください。

コケの美しさや面白さは、とても多様で、奥深いものがあります。

ご自分のやり方を見つけて、末永く、コケを楽しんでいただきたいです。

岡山コケの会(オカモス)のプロフィール情報

オカモスニュース
オカモスニュース|画像提供:岡山コケの会

「岡山コケの会」は岡山在住の日本蘚苔類学会(1972年に発足したコケ研究者や愛好家の全国組織。通称コケ学会)の会員が中心となって1992年に活動開始。

コケ知識の普及、コケ研究やコケ産業の発展に寄与することを目的としている。

会員は全国に約250名。本会の運営は、各地の世話人十数名により行われていて、西村直樹(元岡山理科大学教授、現オカモスハウス管理人)が世話人代表。

一般会員(年会費2000円)には「岡山コケの会(オカモス)ニュース」を年2回発行・送付。ネット会員(年会費1000円)は、オンラインストレージよりPDFで受け取ることができる。

メーリングリストに登録すれば、随時、本会からの案内が送られてくる。

岡山コケの会事務局(本会への入会や問合せはこちら)

住所〒710−0054 岡山県倉敷市本町11−20 蟲文庫
担当 田中美穂
TEL&FAX086-425-8693
メールokayamakokenokai(アットマーク)gmail.com
岡山コケの会公式ホームページhttp://www.okamoss.main.jp/

岡山コケの会|各地の活動拠点・連絡先

岡山コケの会各地の活動拠点と連絡先はこちらです。

岡山:オカモスハウス

画像提供:岡山コケの会

オカモスハウス(〒700-0812 岡山市北区出石町2丁目1-15)を活動拠点として、岡山コケの会ニュースの発行(年2回)、コケカレンダーの作成、観察会や講習会を開催。

全国の会員からの質問や要望に対するフォローや、絶滅危惧種や環境アセスの調査も行っている。

連絡先:okamoss2018(アットマーク)po.oninet.ne.jp

関西(オカモス関西)

コケサロン(毎月第4火曜、現在Zoomによるオンラインで)を開催し、主に関西在住の会員からの要望に応えている。観察会やコケ展も開催。

連絡先:okamosskansai(アットマーク)gmail.com

関東

会員同志が観察会などを不定期に開催している。

連絡先:okamoss_kantou(アットマーク)yahoo.co.jp

九州:宮崎コケの会

会員同志が観察会などを不定期に開催している。

連絡先:kokemiyazaki(アットマーク)yahoo.co.jp

四国(西条)

愛媛県や香川県の会員の要望に応じて、観察会や講習会を実施している。

連絡先:moss.iwata(アットマーク)gmail.com

インタビューカテゴリの最新記事