今回は、愛媛県を拠点に活動されている苔農家兼苔作家、西予苔園(せいよこけえん)のこけみざわゆうきさんにインタビューしました。
※記事内の画像は、西予苔園よりご提供いただいたものです。綺麗な写真で魅力的ですが、無断転載はご遠慮ください。
代々受け継いだ山を綺麗な里山に復活させたい
ーーテラリウム歴はどのくらいですか?また、テラリウムに関わり始めた理由があれば教えてください
3年弱になります。
3年前に苔農家を目指そうと思ったことがきっかけです。
それまではWebマーケティングやコンサルティングなどの会社を経営していました。
お客様のビジネスのWeb周りのサポートをするのが仕事でやりがいもありましたが、40歳を過ぎてから今後80歳まで仕事をすると考えた時に、残りの人生はお客様のお手伝いをする仕事ではなく、自分の為に自分の人生の時間を使おうと考えるようになりました。
そこで地元の愛媛県西予市野村町という所に戻って何がやりたいかを考えたとき、代々受け継いだ山を綺麗な里山に復活させたい、それを仕事にしていきたいと考え行き着いたのが苔農家という選択でした。
苔農家と同時に苔を使った作品を作る作家活動もはじめ、そこで苔を使ったテラリウムを作って販売しはじめたのがテラリウムに関わり始めた理由です。
自宅の庭苔の手入れをしながら庭苔管理のノウハウも
ーー私も田舎に引き継ぐ予定の山があるので、非常に共感します。苔の管理や手入れは、ご自宅でもやられているのですね。
自宅にも庭苔があり、庭苔の手入れをしながら庭苔管理のノウハウも自分の庭で試して勉強しています。
YouTubeでも庭苔を紹介しています
多種多様な苔を栽培|西予苔園オンラインストアでも購入可能
ーー綺麗な苔庭で、とても憧れます!苔農家として、どんな苔を育てていますか?
現在は苔テラリウム用の苔である
- コウヤノマンネングサ
- オオカサゴケ
- ヒノキゴケ
- タマゴケ
- コツボゴケ
- ホソバオキナゴケ
- ミズゴケ
- フデゴケ
と、庭苔用の苔の
- エゾスナゴケ
- ハイゴケ
を育てています。
ーーこけみざわさんの苔は購入できますか?
メインは西予苔園のオンラインストアで販売をしています。
苔だけでなく、お客様ご自身で作る苔テラリウムキットも人気です。
苔テラリウム用の道具や容器、苔テラリウムに相性の良い木や日本の山野草なども栽培したものを販売しています。
苔の海外輸出も展開|地元の産直市場でも大人気
苔は海外輸出も行っていまして、日本の苔をフレッシュな生きた状態で海外の苔愛好家の方にお届けするように植物検疫証明書付きで海外発送も行っています。
苔テラリウム作品自体は、オンラインストアでたまに販売することもありますが、地元の産直市場百姓百品さんでは苔テラリウム作品を常時展示販売させて頂いています。
百姓百品さんの基本情報
百姓百品野村本店
- 住所:〒797-1212 愛媛県西予市野村町野村12-15
- 電話番号:070-5682-6879
- 営業時間:9:15~16:30
テラリウム専用容器メーカーBioloark (バイオロアーク)の代理店も務める
また、最近はBioloark (バイオロアーク)という中国発のテラリウム専用の容器メーカーの日本販売代理店となり販売させていただく事になりました。
今までテラリウムを作ってきて、容器の選択肢の無さというのを実感してきました。
SNS上などで色々な方がテラリウム作品を公開されていますが、どの作品を見ても似たような容器で作られています。
自分でテラリウム容器を探しても結局同じような容器しか使えていないし、もっと作品の幅を広げられるような容器が無いかなと思っていたところ、ユニークでデザイン性も高いBioloark (バイオロアーク)の容器をInstagramで見かけました。
「この容器いいな」と思っていたところ、Bioloark (バイオロアーク)のオーナーの方からたまたまInstagramでDMを頂き、そのご縁で日本販売代理店として日本でBioloark (バイオロアーク)の容器を販売させて頂く流れになりました。
もしテラリウム容器についてもっと自由な容器で作品の幅を広げてみたい思われた方はぜひBioloark (バイオロアーク)の容器を一度試してみて頂ければと思います。
日本の里山の風景を切り取ったような苔テラリウム作品を作成
ーー苔テラリウムに関する事業を幅広く展開されているんですね!たしかに、容器については同じようなデザインのものが多いので、選択肢が広がることは苔テラリウム愛好家にとっても嬉しいことだと思います。
苔作家としては、どのような作品を作っていますか?
苔や苔の自生地で苔と一緒に自生しているような綺麗な山野草を使った、日本の里山の風景を切り取ったような苔テラリウム作品を作っています。
YouTubeでも作品を公開しています。
作っている所から完成まで色々な作品のメイキングを見ることができますが、特に人気の動画はこれらの動画です。
自然のタマゴケをボール型容器に閉じ込める美しい苔テラリウムのつくりかた【タマゴケボール】
制作キットで作るコウヤノマンネングサの着生岩
基本的なレイアウトを特別な作品にする苔テラリウムテクニック
西予苔園こけみざわゆうきさんの苔テラリウム作品集
苔テラリウムの作り方は、YouTubeや対面形式で積極的に発信
ーー綺麗な作品で、見ているだけで癒されますね。西予苔園こけみざわさんから苔テラリウムについて学ぶこともできるのでしょうか
私の苔テラリウムは、YouTubeで作り方のメイキング動画を定期的に公開していますので、まずは西予苔園のYouTubeチャンネルを見ていただければと思います。
対面形式でのテラリウム教室なども開催していまして、愛媛県西予市の自治体や団体の方々からのご依頼でよく教室を開催させて頂いています。
また、今年後半から愛媛新聞カルチャースクールで、定期的にテラリウム講座を開催することも決まっています。
私の苔テラリウムを遠方から見に来られる方も多く、愛媛県内で苔テラリウムに興味がある方が気軽に参加できるような講座を定期開催して、愛媛県内の苔テラリウム愛好家の方たちに楽しんで頂けるような場をご提供できればと思っています。
本当はYouTube活動に専念したくて講座のご依頼などはお断りしようと考えていたんです。
しかし、愛媛県内に苔テラリウムやテラリウムを教えてもらえるような場が1つも無いということで、苔テラリウムを新たに習ってみたいという方々のために微力ではありますが西予苔園がそのお役目を果たす必要があるのかなと思い、定期講座を開催させて頂くことにしました。
利益などはあまり考えておらず、愛媛県内でも一人でも多く苔テラリウムの楽しさを知って頂き、苔テラリウムのある生活を楽しんで頂ければという思いです。
園芸目的による採取で絶滅の危険性がある苔をサスティナブルに安全に栽培
ーー苔テラリウム愛好家を増やすための取り組みも行われていて、頭が下がります。苔農家として、苔作家として大切にしていることがあれば教えてください
苔や植物を愛でるということは、同時に自然を大切にする心を育むことだと思っています。
苔テラリウムや一般的なテラリウムなどに興味を持った方で一部の心無い方が自生している苔を無断で採取するなどの行為が問題になっています。
観賞価値の高い苔が園芸目的による採取で絶滅の危険性が高まってきているという種もあり、そういった苔をサスティナブルに安全に栽培することで、愛好家の方たちに安心して苔を楽しんで頂けるようにしたいという思いから栽培する苔を選んでいます。
苔作家としては、そういった苔の自生地のような美しい山の中の景色などを感じて頂けるような日本の植物を使った苔テラリウムをテーマにしています。
自然の苔や山野草は、ただそれだけで美しいと思っていますので、その美しさを引出せるような作品を作れればいいなと思っています。
苔や山野草などを簡単に育成できるテラリウムを楽しみつつ、自然を大切に
ーーテラリウム愛好家の方にメッセージはありますか?
苔や美しい山野草など、容器の中に閉じ込めることで普通なら育てることが難しい苔や山野草などを簡単に育成できるテラリウムを楽しんでいただく方が増えるといいなと思います。
同時に、先程も申しましたが自生する希少な植物や自生する環境などを大切にする気持ちを持ってテラリウムを楽しんで頂ければ嬉しいです。
今ではインターネットの個人売買アプリなどで、出どころ不明の自生種を山採りし苔を販売されていることもよくあります。
しかし、例え個人所有の山と言って販売されている苔でも、本当にそうなのか?は疑った方が良いです。
出どころ不明の山採りの苔というのは、仮に本人所有の山の中であっても、自然から搾取された、自然環境から略奪された自然に変わりありません。
美しい自生環境を切り売りするような心が痛む搾取された植物を心から楽しめますか?ということを考えて欲しいです。
かつて、真柏という木が盆栽ブームにより絶滅したという事例もあります。
過去の悪しき例からも、園芸目的で人気が高まってきた希少な苔たちをむやみに乱獲するのではなく、持続可能な形で安心安全に楽しむために、消費者の人たちがどのような選択をしていくのか?が問われる時代になっていると思います。
苔の生産者の立場からも、一人ひとりの選択に苔やテラリウム市場の未来がかかっているとひしひしと実感しています。
ーー私も苔テラリウム愛好家の一人として、こけみざわさんの言葉を肝に銘じておきます。その他、伝えたいことがあれば教えてください。
まだまだ苔農家としては駆け出しで、栽培規模もまだそこまで大きくは無いですし、苔の作家としてもまだまだ未熟な点もあります。
しかし、苔農家だからこその視点で作る苔テラリウムの作品なども今後も継続してYouTubeなどで発信していければと思っています。
今後、80歳まであと30年以上は残っているので、長い目で苔農家として頑張って、ゆくゆくは苔の栽培や苔に関連する産業を自治体規模で取り組んでいけるような新たな産業に盛り上げていきたいと思っています。
ーーありがとうございました。私も苔テラリウム制作の腕前は未熟なので、こけみざわさんのYouTubeを見ながら、一生の趣味として楽しんでいきます。これからもよろしくお願いします。
店舗情報
西予苔園 こけみざわゆうき
住所 | 〒797-1212 愛媛県西予市野村町野村2-274-1 |
メールアドレス | seiyokoke@gmail.com |
電話番号 | 070-1348-0441 |
公式ホームページ | https://seiyokoke.com/ |
オンラインストア(BASE) | https://store.seiyokoke.com/ |
西予苔園LINEアカウント | https://lin.ee/EAAGh60 |
https://www.instagram.com/seiyokoke/ | |
https://twitter.com/seiyokoke | |
YouTube | https://www.youtube.com/c/seiyokoke |
Bioloark Japan バイオロアークジャパン
メールアドレス | info@bioloark.jp |
電話番号 | 070-1348-0441 |
公式ホームページ | https://bioloark.jp/ |
https://www.facebook.com/bioloarkjp/ | |
LINEアカウント | https://lin.ee/srKnMxN |
https://www.instagram.com/bioloark.jp/ | |
https://twitter.com/bioloarkjp/ | |
YouTube | https://www.youtube.com/channel/UCFA1QG_c9Er90hUigaZ9w_g |
※記事内の画像は、西予苔園よりご提供いただいたものです。綺麗な写真で魅力的ですが、無断転載はご遠慮ください。