アクアリウム初心者には「水槽が苔だらけだからなんとかしたい」「アクアリウムの見た目をキレイに保ちたい」という方もいると思います。
コケを除去するには、直接水槽内をこすったり、コケを食べてくれるエビを飼育したりする方法がありますが、アクアリウム初心者に知ってほしいのが今回ご紹介する石巻貝です。
この記事では石巻貝の特徴、アクアリウム内での役割、寿命や価格についてお伝えしていきます。
石巻貝とはどんな貝？基本的な特徴を紹介
石巻貝は水槽内をキレイにしてくれる掃除屋さんとして人気が高い生き物です。
まずは、そんな石巻貝の基本的な特徴を紹介します。
- 原産：日本を含む西太平洋沿岸の熱帯、温帯域
- 学名：Clithon retropictus
- 体長：2~3cm
比較的水質のキレイな河川に生息し、体長は2~3cmと小柄な巻貝です。貝殻は右巻き4段に連なった半球形で、色味は緑褐色から黄褐色をしています。また、オスとメスが存在する雌雄異体の巻貝です。
色味が地味で目立たない姿のため観賞魚と相性がよく、アクアリウム水槽ではコケ取り要因としてよく飼育されています。特に日本の淡水魚（メダカなど）との水槽にはピッタリと似合います。
水槽の景観を損ねてしまう苔やバイオフィルムを削って食べる特徴のため、「水槽の掃除屋」として重宝されています。
石巻貝のエサ
石巻貝は水槽内に生えてくる苔や魚の食べ残し、他の生き物のフンを食べる雑食性なので、専用の餌を与える必要はありません。雑食でなんでもよく食べるため、石巻貝が餌不足で困ることはほとんどないと言えます。
逆に、石巻貝のためにエサをあげてしまうと、水を汚す原因となるので気を付けましょう。
エサのあげすぎが水を汚す原因についてはこちらの記事で詳しく紹介しています
石巻貝の繁殖
石巻貝が水槽内で繁殖することはありません。
石巻貝は自然界において、卵から孵化した赤ちゃん（幼生）は海水で生育し、その後汽水域（海水と淡水が混ざった水域）で成長します。さらに、大きくなるにつれて淡水環境へと棲み処を変えます。このような環境の変化を水槽内で再現することは難しく、石巻貝がアクアリウム水槽内で繁殖することは不可能に近いです。
しかし、繫殖はしませんが、水槽内で卵は産みます。水槽内で孵化せず残った石巻貝の卵は、孵化せずに残ってしまいます。そのため、水槽内の壁面をきれいに保つためには人の手で剥がす必要があります。
卵を取ってあげる手間はありますが、勝手に繁殖しないため飼育管理はかんたんな貝とも言えます。
石巻貝の飼育環境
石巻貝は淡水・汽水に生息する巻貝なので、水質と水温の環境変化に耐性があるタフな種類です。中性~アルカリ性の水質を好みますが、あまり神経質になりすぎる必要はありません。
また、石巻貝は水槽のガラスやレイアウトから落ちてひっくり返ってしまうことがあります。ひっくり返ってしまうと、石巻貝は自力では起き上がれません。そのまま放っておくと衰弱して死んでしまうので、気がついたら助ける必要があります。
アクアリウムにおける石巻貝の役割
アクアリウムにおける石巻貝の役割は、次の2つです。
- 水槽掃除のスペシャリスト
- 環境の悪化を知らせてくれる水質のバロメーター
水槽内を隅々まで綺麗にする掃除屋
石巻貝は、水槽内をキレイにしてくれる掃除屋として重宝されています。
石巻貝は水槽のガラス、レイアウトの流木や石や岩など、あらゆる場所に生え茂った苔を食べてくれます。そのため、コケ取り要因としてミナミヌマエビやヤマトヌマエビと並んで有名です。
他にも、魚の食べ残しなどの有機物も食べてくれるので、アクアリウム水槽内の水質維持にも役立ちます。
水質の状態を知らせるバロメーター
石巻貝は、水槽内の水質状態を示すバロメーターとしても活躍します。
石巻貝は、水温・水質悪化による環境変化に対して反応を見せます。例えば、水質が悪化してくると砂に潜ったり、殻に閉じこもり動かなくなったりするので、水槽内の環境を知ることができるのです。
石巻貝は水槽内の水が酸性に偏ると上記の行動パターンをとるので、水替えの基準としても便利な存在と言えるでしょう。
石巻貝の寿命はどのくらい？
石巻貝の寿命は約1年程度です。水槽内では繁殖できないので、アクアリウムの掃除用に飼育する場合は定期的に購入する必要があります。
また、水質の酸性傾向が強いと、貝殻が溶けてしまい寿命は短くなることもあります。
石巻貝の価格はどのくらい？
石巻貝をネットで購入する場合、30匹で1,000円程度で購入できます。
ホームセンターなどで購入する場合は、5~6匹で数百円というショップが多いです。
石巻貝はアクアリウム水槽の掃除にオススメの貝
この記事では石巻貝の特徴、アクアリウムにおける役割、寿命と価格についてお伝えしました。
石巻貝には、アクアリウム水槽内では繁殖できないにも関わらず、水槽ガラスの壁面に孵化しない卵を産み付けるなどのデメリットもあります。
一方で、水槽内の苔を食べてキレイにしてくれる、水質変化を知らせてくれる、観賞魚との景観を邪魔しないなどのメリットも数多く存在します。
観賞魚との混泳も可能で、価格も安く飼育の難易度も低いため、アクアリウム初心者の方にもオススメです。
水槽内の苔をきれいにしたい場合は、まず石巻貝を導入してみましょう。
