アクアリウム初心者の始め方|必要なもの・費用・水槽の立ち上げ手順と最初の熱帯魚
アクアリウムを初めて始める人へ、熱帯魚水槽に必要な道具と費用、60cm水槽を例にした失敗しにくい立ち上げ手順、水づくり、コリドラスやネオンテトラの選び方、水合わせ、水質検査、日々の管理と注意点、魚を長く飼うための基本を順を追って解説します。
公開 2023-01-23 更新 2026-09-16

アクアリウムを始める前に決めること
アクアリウムを始めるときに大切なのは、水槽に水を入れてから魚を選ぶことではありません。飼いたい魚の成長後の大きさ、必要な水温・水質、群れで暮らすか、ほかの魚と同居できるかを先に調べ、その条件に合う水槽と機材を整えることです。淡水の小型熱帯魚を中心にした水槽は、海水水槽に比べて必要な水質管理の項目が少なく、初めてでも計画を立てやすい選択肢です。
今回想定するのは、玄関に置く60cm水槽で、コリドラスを主役にし、ネオンテトラやアカヒレも候補にする淡水魚水槽です。手入れをできるだけ複雑にしないためにも、最初から魚を詰め込まず、水量とろ過能力に余裕を残します。60cm規格水槽は水量が約50〜60Lの製品が多く、たとえば幅60cm・奥行27.5cm・高さ36cmの製品では約51Lです。1
魚を選ぶ際は、同じ水槽で泳ぐ位置と社会性を確認します。ネオンテトラを含む多くのテトラ類は群泳する魚で、6匹以上の群れにすると落ち着きやすくなります。2 コリドラスは底層で活動する温和な群泳魚で、丸みのある細かな砂を好み、5匹以上のグループで飼うことが勧められています。3 両者は性質や泳ぐ層が異なるため候補になりますが、これは水質が安定した水槽で、成魚の大きさと収容数に余裕があることが前提です。コリドラスのひれには鋭い棘があり、一部の種には弱い毒性もあるため、網で追い込み過ぎたり素手でつかんだりしないようにします。3
「水量1Lにつき魚の体長1cm」といった単純な目安だけで匹数を決めることは避けましょう。魚の体形、排せつ量、成長後の大きさ、ろ過、底床、水草の量で負荷は変わります。初心者ほど少なめから始め、水質検査の結果と魚の状態を見ながら増やす方が安全です。
必要なものと費用の考え方
熱帯魚水槽は、水槽本体だけでは飼育環境になりません。下表の道具を、飼う魚と水槽の大きさに合わせて用意します。水草を主役にするか、魚を主役にするかによって、照明や底床の選び方も変わります。
| 道具 | 役割と確認したい点 |
|---|---|
| 水槽・水槽台・水槽マット | 水を入れると大きな重量になるため、サイズが合う専用台を水平で安定した場所に置きます。20Lを超える水槽は専用台を使う案内があります。4 |
| ろ過フィルター | ごみを集め、水中のろ過バクテリアがすみ着く場所をつくります。水槽の容量に合う製品を選び、常時運転します。 |
| ヒーター・水温計 | 熱帯魚が必要とする水温を安定させます。水温の適温は魚種ごとに異なるため、設定温度だけでなく実測値を確認します。 |
| 底床 | 砂利、砂、ソイルなどです。コリドラスには口ひげを傷めにくい、角のない細かな砂が向きます。3 |
| カルキ抜き・水質検査キット | 水道水の塩素・クロラミンを中和し、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩などの状態を数値で確認します。 |
| バケツ・ホース・ネット | 水換え、底床掃除、魚の移動に使います。水槽用として分け、洗剤が付かないよう管理します。 |
| 流木・石・水草・隠れ家 | 隠れ場所や景観をつくります。水質への影響や、倒れたり魚を挟んだりしない配置を確認します。 |
費用は、水槽の大きさ、台や照明の有無、ヒーター、底床、検査キット、水草・レイアウト用品によって変わります。参考として、上部フィルターとろ材、ふた、カルキ抜きなどを含む60cm水槽セットには標準小売価格10,800円+税の例がありますが、LED照明は別売です。1 ヒーター、専用台、底床、掃除用品、検査キット、生体まで含めた初期費用は構成次第で大きく変わります。価格、取り扱い、在庫、セット内容は変動するため、使用する製品の仕様と合計額を個別に確認してください。
設置場所とレイアウトを整える
水槽は、直射日光が当たりにくく、温度変化や振動が少なく、電源と水換え作業を確保できる場所に置きます。テレビや家電の近く、不安定な家具やサイズの合わない台の上、床暖房の上などは、水漏れや破損、温度変化のリスクがあるため避けます。1 設置後に水槽を動かすことは難しいため、水を入れる前に台の水平、耐荷重、水槽のはみ出しがないかを確認しましょう。
レイアウトは、魚のための泳ぐ空間を優先します。流木や石は安定させ、コリドラスが底を移動できる開けた場所を残します。流木は製品の説明に従って下処理を行い、色が出ることや水質への影響も確認してください。水草を植える場合は、必要な光量と底床を選び、枯れた葉を放置しないことが大切です。
水槽の立ち上げ手順
1. 水槽台を設置し、底床を準備する
水槽台と水槽マットを設置し、水槽が水平であることを確かめます。底床は、洗浄不要と表示された製品を除き、バケツで濁りが落ち着くまで洗います。水槽の中で砂を洗うと、砂粒でガラスを傷つけるおそれがあります。観賞魚中心の水槽では、底床の厚さはおおむね1〜3cmが目安です。1 後方を少し高く、前方を低くすると奥行きが出ますが、底を歩く魚のために前面に平らな場所も残しましょう。

2. フィルター、ヒーター、温度計を取り付ける
フィルターは吸水・排水が妨げられず、メンテナンスできる位置に置きます。ヒーターは説明書が指定する水位まで完全に沈め、通電前後の扱いと水換え時の停止手順を必ず守ります。コードには、水がコンセントへ伝わらないよう、途中を一度下げる「ドリップループ」を作ると安心です。機材は、魚を入れた後も手入れできるよう、最初から背面や側面に余白を設けます。
3. レイアウトを組み、カルキを抜いた水を注ぐ
流木、石、隠れ家を先に固定し、底床を舞い上げないよう皿や袋の上からゆっくり注水します。水道水を使う場合は、魚用の塩素中和剤で塩素・クロラミンを適切に処理します。塩素やクロラミンは魚に有害であり、ろ過に必要な細菌にも影響するためです。5 水を入れたらフィルターとヒーターを稼働させ、温度計で水温を確認します。
魚を入れる前に「水を育てる」
立ち上げ直後の水槽で最も重要なのは、見た目の透明さではなく、排せつ物や食べ残しから生じる窒素化合物を処理できる状態かどうかです。水槽では、アンモニアが亜硝酸、さらに硝酸塩へと変換されます。アンモニアと亜硝酸は魚に有害で、硝酸塩も蓄積させないよう部分換水で管理します。5
ろ過バクテリアはフィルターのろ材、底床、装飾物などに定着します。したがって、フィルターをただ数日空回ししただけでは、魚を十分に受け入れられるとは判断できません。水質検査でアンモニア0ppm、亜硝酸0ppmを確認し、硝酸塩が検出されることを目安にします。6 立ち上がりまでの期間は水温、ろ材、方法により変わり、一般に数週間かかります。5 日数だけを基準にせず、検査結果で判断してください。
生体を使わずにアンモニア源を与えて循環をつくる方法は、初期の魚を高濃度のアンモニアや亜硝酸にさらさないための選択肢です。観賞魚用として設計されたアンモニア源を使う場合は、製品の手順に従い、魚がいる水槽には絶対に加えません。5 バクテリア剤は立ち上げを補助することがありますが、検査を省略できるものではありません。
パイロットフィッシュとしてアカヒレなどを先に入れる方法も知られています。しかし、魚を使う立ち上げは魚に負担がかかり、水質の頻繁な測定と部分換水が必要です。6 コリドラスは新しい水槽に入れるべきではないとされる魚でもあります。3 最初から「試しの魚」を入れるのではなく、可能なら生体を使わない方法で水をつくり、飼い続ける予定の魚を少数ずつ迎える方が、魚の扱いとしても計画が明確です。
最初の熱帯魚を迎える方法
水質が安定したら、ネオンテトラなら群れとして、コリドラスなら同種のグループとして、一度に全計画数を入れずに少数から導入します。新しい魚が増えると排せつ物も増え、ろ過バクテリアが処理量に適応するまで時間がかかります。アンモニアまたは亜硝酸が0ppmでない間は、追加しません。5
導入時は、購入時の袋を水槽に浮かべて水温を近づけます。その後、魚を別の清潔な容器へ移し、水槽の水を少量ずつ加えて水質に慣らします。水温と水質を急に変えると体調を崩すことがあるためです。4 最後は魚を網などで水槽へ移す方法をとると、運搬水を水槽に持ち込みにくくなります。導入当日は照明を控えめにし、追い回さず、呼吸、泳ぎ方、食欲を観察します。
ネオンテトラとコリドラスを一緒に飼う場合も、同じ「小型魚」だからと数だけで判断しません。ネオンテトラには群れで泳ぐ中層の空間、コリドラスには細かな砂と底層の餌、双方には安定した水温・水質が必要です。魚の体格差が大きい魚、攻撃性のある魚、口に入る大きさの魚との混泳は避けます。
立ち上げ直後から続ける管理
最初の数週間は、アンモニア、亜硝酸、硝酸塩、水温を特に注意して確認します。水が白く濁る、においがする、魚が水面で苦しそうにする、底で動かない、食べないといった変化があれば、まず水質を測り、必要に応じてカルキを抜き温度を近づけた水で部分換水します。アンモニアや亜硝酸の上昇が続く、異常な泳ぎ方、やせ、腹部の膨らみ、皮膚やひれの変色があるときは、観賞魚を診られる獣医師へ相談してください。5
安定後も、餌は短時間で食べ切れる量にとどめ、定期的に部分換水と底床の掃除を行います。ろ材を洗う必要があるときは、水道水で徹底的に洗うのではなく、取り出した飼育水ですすぐと、定着したろ過バクテリアを残しやすくなります。6 水槽を急いで完成させるより、測定、観察、少量ずつの導入を繰り返すことが、熱帯魚が長く暮らせる水槽への近道です。