こんにちは、ソルナリウム編集長です。今回、自宅の玄関に改めて水槽を立ち上げようと考えています。
それに伴い、改めて「アクアリウム水槽の立ち上げ方」を学びなおしました。
この記事では、初めてアクアリウム水槽を立ち上げる初心者の方にも分かりやすいよう、立ち上げ準備や手順を紹介していきます。
なお、今回私が立ち上げる水槽の条件は次の通りです。
- 60cm水槽
- 熱帯魚を飼育(コリドラス・アカヒレ・ネオンテトラを想定)
- なるべくメンテナンスを簡単に
アクアリウム水槽の立ち上げ準備
水槽をいじる前に、次の7項目を決めておかなければなりません。
- 飼育する生体の種類を決める
- 飼育生体の特徴・相性を調べる
- 水槽の大きさを決める
- 生体に必要な資材・底床材・機材を調べる
- ろ過装置を決める
- 水槽の置き場所を決める
- 水槽レイアウトを考える
ここで決めた内容が崩れると、水槽立ち上げはうまくいきません。早く水槽をいじりたい気持ちは分かりますが、焦らず慎重に考えましょう。
飼育する生体の種類を決める
最初に飼育する生体の種類を決めます。
まずは大雑把に、「淡水魚」なのか「海水魚」なのか考えましょう。
今回の私は「淡水魚」を飼育します。(※海水魚の飼育は大変難しく、初心者にはオススメしません)
次に、具体的な魚の種類を考えます。
私は「コリドラス」が好きなので、今回の水槽はコリドラスをメインにします。
また、妻の希望で「ネオンテトラ」も飼育しようと思います。
飼育生体の特徴・相性を調べる
つづいて、飼育生体の特徴・相性を調べましょう。
生体によっては、攻撃性が高かったり隠れ家が多く必要だったりと、何かしらの対策が必要になる場合もあります。特に複数の品種を1つの水槽で飼う場合は、それぞれの魚の特徴と相性を理解しておきましょう。
今回の私の場合、まず「コリドラス」の特徴としては次の2つが挙げられます。
- 水槽の下を泳ぎ回る
- 毒を持っている
水槽での飼育時も下の方にいることが多いため、底床材(水槽の底に敷く砂や石)には気を遣う必要がありそうです。また、毒を持っていますが、コリドラスから他の魚を攻撃することはほとんど無いようなので混泳可能と判断できます。(コリドラスについては「コリドラスとはどんな魚?特徴や種類、寿命、価格を紹介!」もご覧ください)
次に「ネオンテトラ」の特徴は次の通りです。
- 基本的には群れで生活をしており、水槽内でも群れで泳ぐ
- 性格はおとなしい
ネオンテトラは群れで泳ぐ魚なので、飼育する際には5匹~10匹は入れてあげた方が良さそうです。また、性格はおとなしいようなので、ネオンテトラとコリドラスは混泳可能ですね。(ネオンテトラについては「ネオンテトラとはどんな魚?特徴や種類、寿命、価格を紹介!」もご覧ください)
飼育生体の特徴・相性を調べる際には、次の3つを特に注意してチェックしてみてください。
- 他の魚と混泳可能か
- 水槽内のどこで生活するのか
- 1匹で大丈夫なのか、複数匹入れた方が良いのか
水槽の大きさを決める
次に、水槽の大きさを決めます。
水槽が大きければ、それだけ水量が増え、水槽内の環境が安定します。
アクアリウム界では、原則として「水量1Lにつき、体長1cmの魚を1匹」が基本です。
今回飼育を考えているのは、「コリドラス10匹くらい(最大6cm前後)」「ネオンテトラ10匹くらい(最大4cm前後)」なので、最低水量は次の様に計算します。
コリドラス6cm×10匹+ネオンテトラ4cm×10匹=60+40=100L
ただし、これはろ過が未熟な場合の考え方です。パイロットフィッシュを入れて水を作り、ろ過装置をしっかりつければ、「水量1Lにつき、小型魚を1匹」でも問題ありません。
そう考えると、今回必要な水量は次の通りになります。
コリドラス(小型)×10匹+ネオンテトラ(小型)×10匹=20L
水量に絶対的な正解はありませんが、「初心者ほど生体1匹あたりの水量が多い方が良い」と覚えておきましょう。
さて、今回私は最低でも20Lの水量が必要ですが、いずれは生体を増やすかもしれないため60cm水槽を選びました。
なお、60cm水槽に入る水量は約55Lが一般的です。(W60×D30×H36の場合)これなら将来的に、50匹~60匹程度まで生体を増やせます。
60cm水槽には下記のように様々な機材がセットになっているものもあれば
下記のように水槽のみのシンプルな商品もあります。
生体に必要な資材・底床材・機材を調べる
飼育する生体と水槽が決まったら、必要な資材・底床材・機材を調べます。
熱帯魚を飼育する時に必要な道具は、次の通りです。
- 水槽台
- ヒーター
- 底床材
- 隠れ家
- ろ過装置
なお、ろ過装置は検討するべきことがたくさんあるので、ここではろ過装置以外の3つについて紹介します。(ろ過装置は次の段落で詳しく解説します。)
水槽台
60cm水槽となると、水や砂利(底床材)を含んだ重さは70kg程度になります。そのため、できれば専用の水槽台を用意した方が安心です。
水槽台は次のようなシンプルなものもあれば
次のようなお洒落なものもあります。
外部フィルターを隠したい場合や、エサや各種道具をしまいたい場合は、扉がついている水槽台の方がオススメです。(私はむき出しの水槽台を買いましたが。。笑)
熱帯魚用のヒーター
まず、今回飼育するのは熱帯魚なので、ヒーターが必要です。
今回の私は60cm水槽で飼育するので、水量50L以上に対応しているヒーターを探します。
ちなみに、ヒーターの対応している水槽サイズが大きくなれば、それだけワット数も大きくなります。つまり、電気代も上がります。。笑
底床材
底床材は、水槽の底に敷く石や砂です。
底床材は水質を維持してくれるバクテリアの棲み処にもなるので、必ず設置しましょう。
底床材も、飼育したい生体の性質に合わせて選びます。
例えば、金魚やメダカを飼うなら、フン掃除でかき回しても傷まない「大磯砂」がオススメと言われています。
一方、水草水槽にする場合は、水草が根付くように「ソイル」を使います。(手入れは大変です)
今回は水槽の底でエサを探し回るコリドラスが身体を傷つけないよう、柔らかい底床材の「田砂」を使います。
隠れ家(流木やレンガ、水草など)
魚たちの隠れ家として、流木やレンガ、水草なども入れておきましょう。
流木を入れる際は、お湯で茹でるなどして「あく抜き」を行ってください。(あく抜きしないと、水が茶色くなってしまいます)
最初からあく抜き済みの流木を買うと、処理が楽です。
レンガや水草は、お好みで設置してみてください。(詳しくは記事後半の水槽レイアウトで紹介します)
ろ過装置を考える
どんな生体を飼う場合にも必要なのがろ過機です。そして、アクアリウムではろ過装置が最も重要と言っても過言ではありません。
アクアリウム水槽内では、生体の排泄物で水がどんどん汚れます。そして、汚れた水を放置すると、生体たちは死んでしまいます。(水質悪化の仕組みは「水質悪化の仕組みをメダカのプロが解説!アクアリウムにおける水質管理とは」をご覧ください)
そのため、ろ過装置を利用して、水槽内に自然界と同様の循環システムを作り出すことが重要です。ろ過の詳しいメカニズムは「アクアリウムのろ過(濾過)システムの仕組みを解説!水槽を立ち上げる前に必要な知識」をご覧ください。
さて、ろ過器には、大きく分けると次の7種類があります。
- スポンジフィルター
- 投げ込みフィルター
- 底面フィルター
- 上部フィルター
- 流動式フィルター
- 外掛けフィルター
- 外部フィルター
この中で、60cm水槽で選択肢になるのは次の
- 外部フィルター
- 上部フィルター
外部フィルター
外部フィルターは、その名の通り水槽外部に離れて設置するろ過装置です。
ろ過機能が高くメンテナンスも簡単で、パーツがばら売りされているので修理も可能です。モーター音が気になる方もいるかもしれませんが、最近の外部フィルターの静音性能は優れているのでそこまで気にならないでしょう。大きな水槽になればなるほど、外部フィルターを使う場合が多いです。
外部フィルターを使う場合、ろ過中の水が酸素と触れません。そのため、別途エアレーションを行う必要があります。また、外部フィルターは他のろ過装置よりも価格が高いため、導入する際はある程度の資金が必要です。
水が外部と触れないため酸素が溶け込みませんが、その分、二酸化炭素も逃げません。そのため、水草水槽では重宝されるろ過装置です。
上部フィルター
上部フィルターは、その名の通り水槽上部に設置するろ過装置です。
水槽から水を汲み上げて、上部装置でろ過します。フレームがついていない水槽には設置しにくいため、上部フィルターを使う場合は水槽選びから気を遣いましょう。
上部フィルターはメンテナンスが非常に簡単で、水槽上部に設置するため置き場所にも困りません。水に酸素を取り入れやすいので、バクテリアや生体の酸欠を防ぐ役割も担ってくれます。
生体がメインの水槽の場合は、上部フィルターがオススメです。私も今回は上部フィルターを採用します。
水槽の置き場所を決める
水槽の置き場所は、直射日光があたらず、温度変化が少ない場所がオススメです。
また、水槽台を置くスペースがあるかも考慮しましょう。
水槽レイアウトを考える
最後に、水槽レイアウトを考えます。
一度水槽を立ち上げると、後から簡単には変更できません。
事前にInstagramやインターネットなどで参考になるレイアウトを探してみましょう。
ソルナリウム内では「アクアリウムYouTuber「なおなお軍曹」さんにインタビュー!」で様々なレイアウトを紹介しています。
アクアリウム水槽の立ち上げ手順
さて、ここからはいよいよ、アクアリウム水槽の立ち上げ手順を紹介します。大きな流れは次の通りです。
- 水槽台の組み立て・設置する
- 底床材を洗って敷き詰める
- ろ過装置(フィルター)・ヒーター・その他機材を設置する
- レイアウトを組む
- 水を入れる
- カルキ抜き・バクテリア剤を入れる
- 3日~7日はそのまま放置する
- パイロットフィッシュを導入する
- 数週間~1か月様子を見る
- メインの生体を導入する
順番に解説していきます。(写真は後日追加します。。)
水槽台の組み立て・設置する
まずは水槽台を組み立てます。普通の家具を買ってきた時と同じイメージで組み立てられるので、それほど難しくはありません。
底床材を洗って敷き詰める
つづいて、底床材を洗って敷き詰めます。
底床材を洗う際は、水槽内で直接洗わず、バケツなどで洗ってください。(水槽内で洗うと、ガラス面を損傷する原因になります)
底床材を敷き詰める目安は、2~3cm程度です。
この時、水槽の後ろ側の底床材を高くし、前面を低くすると、水槽内に奥行きが出て見栄えが良いです。
ろ過装置(フィルター)・ヒーター・その他機材を設置する
底床材を入れたら、ろ過装置(フィルター)・ヒーター・その他機材を設置します。
ろ過装置系はなるべく後ろ側で設置した方が、水槽の見栄えが良くなります。電源コードの配線にも気を遣うと良いです。
レイアウトを組む
機材を設置したら、隠れ家や流木などレイアウトを組みます。
あまり入れすぎると魚たちが生活する空間を圧迫するので、余裕を持ったレイアウトにしましょう。
水を入れる
レイアウトを崩さないよう、そっと水を入れます。生体導入時の水合わせで余裕があるよう、8分目程度にしておくと後々が楽です。
カルキ抜き・バクテリア剤を入れる
水道水を好かう場合、カルキ抜きを入れて中和します。
また、水槽内の環境を整えるバクテリア剤も入れると、早く水質が安定します。
3日~7日はそのまま放置する
バクテリアを入れたら、そのままろ過装置を回して3日~7日は放置します。
まずは水槽内の環境を安定させましょう。
パイロットフィッシュを導入する
3日~7日放置したら、パイロットフィッシュを導入します。
パイロットフィッシュとは、水槽立ち上げ時に水槽内の環境を整えるために導入する生体です。
水槽内の環境を整えるためにはバクテリアの存在が不可欠ですが、バクテリアが暮らすためには生体の排泄物が必要です。その排泄物を出す役割を担ってくれるのが、パイロットフィッシュです。
合わせて読みたい>>アクアリウムのろ過(濾過)システムの仕組みを解説!水槽を立ち上げる前に必要な知識
パイロットフィッシュは過酷な状態の初期水槽に投入するので、環境変化に強い種類を選びます。
パイロットフィッシュの代表格は、身体の強いアカヒレです。
合わせて読みたい>>アカヒレ(コッピー)とはどんな魚?特徴や種類、寿命、価格を紹介!
パイロットフィッシュは水量に合わせて導入数を変えます。概ね10Lに対して1匹を目安にするとよいでしょう。
今回は60cm水槽なので、5匹~6匹が目安です。
数週間~1か月様子を見る
パイロットフィッシュを導入したら、数週間~1か月は様子を見ます。
この段階で異臭がしたりパイロットフィッシュが弱ってしまう場合は、水槽内の循環システムに問題がある可能性が高いです。その場合、ろ過装置の性能を高めるなどして対応しましょう。
パイロットフィッシュが元気に泳いでいれば、いよいよメインの生体を導入します。
メインの生体を導入する
メインの生体導入時も、いきなり多量の生体を追加するのではなく、1週間に5匹~10匹程度ずつ追加した方が水槽内の環境には優しいです。
早くアクアリウム水槽を完成させたい気持ちは分かりますが、焦らずゆっくり行いましょう。
アクアリウム水槽の立ち上げは気長に根気よく行おう
アクアリウム水槽の立ち上げには、準備から生体の導入まで多くのステップがあり、かなり気長な作業になります。
しかし、焦って立ち上げると環境構築が上手くいかず、生体に辛い思いをさせてしまいます。
水槽を立ち上げる長い手順も、アクアリウムの醍醐味です。焦らず気長に根気よく行いましょう!