アピストグラマとはなんぞや?に触れていきたいと思います。
アピストグラマとは
アピストグラマ
聞き馴染みのないまるで呪文のような名前の種類ですね 笑
アピストグラマというのは南米(ペルー、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ボリビア、ベネズエラなど)に生息する、小型のシクリッド(ドワーフシクリッドと呼ばれます)として分類されている魚です。
シクリッドというと、ホームセンターのアクアコーナー等でも大人気の「オスカー」「エンゼルフィッシュ」などが代表でしょうか。
シクリッドの特徴として「独特の子育ての仕方」という物が挙げられます。
- 親が卵を守る
- 親が孵化した稚魚を口内で育てる
そう、子育てをする魚として有名なんです。
いやいや、普通育てるだろって思うかもしれませんが、一般的な熱帯魚は卵を産んだら産みっぱなしなんですよね。笑
そしてこのアピストグラマさん・・・
まだ毎年新種が発見され続けており、現在150種ほどになっております。
150・・・多すぎますね。
一般的な熱帯魚ショップでは見かける機会も少ない謎の熱帯魚アピストグラマの種類
アピストグラマは、一般的な熱帯魚ショップでは見かける機会も少ない謎の熱帯魚です。
最も流通の多いアピストはブリードされた下記が代表種であり入門種ですが、その名前がまた厄介なんです笑
- アガシジィ ファイヤーレッド
- カカトゥオイデス ダブルレッド
- ボレリー オパール
など。
一見呪文のようで舌を噛みそうですが、よく見ると名前が2つから構成されていますね。
アガシジィ ファイヤーレッド
アガシジィという種類の中でファイヤーレッド:蝋燭の炎のような姿をしています。
カカトゥオイデス ダブルレッド
カカトゥオイデスという種類の中でダブルレッド:ヒレに赤いモザイクが入っているのが特徴です。
ボレリー オパール
ボレリーという種類の中でオパール:まるでオパールの様な輝きから来ています。
ワイルド個体は「種類名:大まかな河川名」で命名されている
これがワイルド個体になってくると
- エリザベサエ トッカーノ
- ビタエニアータ カレイロ
- カカトゥオイデス イタヤ
等、「種類名:大まかな河川名」という厨二感が一切なくなった普通の名前になってきます。笑
何故かアピストには河川名が付いてくる事が多いんですが、河川による明確な違いはあまりないです。(ある物もあります)
言わば、飼育者の為に「この辺のアピストだよ」といった情報が付加されているような形です。
アピストグラマのほぼ全てが前半部分が種類名であり、後半部分は補足情報という形で流通されています。
なので実は皆さんの想像より名前は短いのです。笑
アピストグラマの特徴
ここからは、アピストグラマの特徴について解説します。
アピストグラマは子育てに最大の特徴がある
アピストグラマはドワーフシクリッドの名が表す通り、最大でも10cmほど、飼育下では6~8cmほどの小さなシクリッドです。
ただし、先述したように、子育てに最大の特徴を持つのが本種です。
ドワーフシクリッドの産卵は、「ケーブ・スポウナー」と「オープン・スポウナー」の2種類に分かれます。
ケーブ・スポウナーは、折り重なった枯れ葉の隙間や、流木のくぼみ等、洞窟状の周囲から見えない場所に産卵する形態です。
オープン・スポウナーは、平たい石の表面や流木の表面等に産卵する形態です。
アピストグラマの殆どが、折り重なる枯れ葉や流木等に卵を産み付けるケーブ・スポウナーとなります。
アピストグラマの産卵・孵化・子育て
一回の産卵は30~100個ほどであり、メスが産み付けた卵にオスが放精し受精。3日ほどメスがヒレで卵に水流を送り続け孵化します。
ここからがアピストグラマの醍醐味。
孵化した稚魚は洞窟の外に出て自由に泳ぎまわります。
するとメスである母親はどうするでしょうか?
外敵がいるかもしれないと「そこは危ない!!!」とピピーッと笛を吹きます。(たとえです)
笛が鳴り響くや否や、稚魚たちは一斉に母親の手元に戻ります。
「こっちに餌があるよ!」と笛を吹くと稚魚たちは我先についばみに来ます。
ずっと母親に守られているのではなく、母親が外敵を監視し、指令を出す感じですね。
稀に母親の場所がわからない稚魚や、鈍くさい子がいると、口の中にパクっと稚魚を咥え、安全な場所に吐き出します。
一度に5~10匹ほど咥えられるようです。
水槽のライトを消すと、一生懸命、巣穴に子供を運ぶ母親の姿が見れたりします。笑
アピストグラマの育児事情
じゃあ父親はと言うと・・・・。まるで人間のようです。
そう、母親に「邪魔だよ!」「そんな所で何やってんの!」「少しは子育て手伝いなさいよ!」と言わんばかりに、あっちに行っては突かれて、こっちに来ては尾ビレで叩かれて・・・しょんぼりと水槽の隅に佇んでしまいます。
ここも面白い所で、母親が育児をせず父親がしているペアも居れば、父と母で半々で子どもたちを分担し育てるペアも居たります。
ただ基本的には上記の様に、メスが子育てをしている時はオスはいじめられてしまいます(´・ω・`)
*水槽内に外敵はいませんが、必ずこのアピストグラマ特有の子育てを見られます。
ただ、笛は吹きませんし音はしません。少し盛り過ぎました。笑
この様にアピストは子育てを眺める事も楽しみの1つです。
アピストグラマのメスは婚姻色になる
メスは基本的に婚姻色と呼ばれる物があります。
採取地によって産卵する前に婚姻色が出る種類や、産卵後に婚姻色になる種類、孵化後婚姻色になる種類とまちまちですが、総じて「全身真っ黄色」になります。
これが本当にキレイで、色彩豊かなオスよりもこの時期のメスは素晴らしい色を魅せてくれます。
アピストグラマは水質にうるさくて飼育も難しい?
「アピストグラマは水質とかにうるさくて、飼育も難しいんでしょう?」という声も聞かれますが、そんなことはありません。
アピストグラマの殆どの種類が弱酸性の軟性の水で飼えますし、増えます。
稀に極端に水質のうるさい種類も居ますが、基本的にはpH6前後で飼育出来ない種類はおりません。
いわゆる、一般的な熱帯魚を飼育しているのと同じ状況で飼育可能という事です。
だって同じ場所に棲んでる魚なんですから・・。笑
ただ、他の熱帯魚を一線を画すほど、違う面が1つだけあります。
アピストグラマは、濾過の効いた水槽でないとすぐに死んでしまいます。
亜硝酸やアンモニアが検出される水槽では数日と保たないほどに弱いです。
逆に、濾過のしっかり効いた水槽では水換えを一ヶ月サボっても・・極端に言えば、バランスの取れた水槽であれば一年水換えせずとも元気です。
勿論限度はありますので、しっかりと魚を観察して飼育してください。
アピストグラマの魅力
アピストグラマは「南米の宝石」と称されるほどに色彩豊かであり、目を奪われるような綺麗さを持っております。
また、種類の豊富さも他に例がなく、コレクション性も高い面があります。
子育ての様子も魅力的です。
ただ、これは飼育してみないとわからない部分でもありますが・・・・
アピストグラマは、まるで人の様に様々な表情があります。
オスカー等を飼育している方はわかってくれるかもしれません。笑
雌雄で喧嘩を良くしますが、かなり表情が出て面白いです。
またフィンスプレッティングというベタで言うところのフレアリングをアピストもするのですが
息を呑むほど美しいです。
一瞬一瞬で色彩が変わるのも特徴の1つですね。
また、アピストグラマはシミュレーションゲームのような、ロールプレイングゲームのような不思議な要素を持っています。
というのも、「こうしたらこうなるから、こうしたらいいのかな?」と飼育者が多少手を加えて飼育していく要素があるのです。
勿論、放っておいてもしっかり飼えますが、この手を加える部分が難しくもあり面白くもあります。
失敗を糧として次の飼育に役立てる!なんて事もあったりして・・・笑
アピストグラマは「観察する魚」だと私は思っています。
見るだけではなく、観察ですね。
そうすることで、よりアピストの魅力にどっぷりと浸かり、たちまち水槽が繁殖していく・・・なんて事があったりなかったり。笑
アピストグラマの飼育方法
アピストは基本的にシンプルな水槽が飼いやすいです。
- 水槽:30cmキューブやL水槽など
- フィルター:スポンジフィルター
- 隠れ家:尖っていない流木や割った植木鉢、市販の産卵シェルター等
- 低床:底が見えるか見えないかくらいに薄く敷く(厚く敷くとエロモナスを発症しやすいです)
- 混泳:ペア飼育が理想ですが、基本的に口に入らないサイズの熱帯魚とは混泳出来ます。
これだけ・・・。
凄く簡単!笑
シンプルなセッティング例 画像提供:AP.FARM【K】|アピスト専門店
まとめ
今回はとてもざっくりと、大まかな「アピストグラマとはなんぞや」ではありますが、興味を持っていただけましたら幸いです。